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避難所訓練が形骸化する理由とは?見直したい3つのポイント

避難所開設訓練や避難所運営訓練は、多くの自治体で継続的に実施されています。

一方で
「毎年やっているが、実際に本番で動けるか不安が残る」
「参加者の理解に差があり、訓練の成果が積み上がっている実感が薄い」
と感じることも少なくありません。

訓練そのものが無意味なのではなく、
訓練の設計や振り返りの仕方によっては、どうしても“その場限り”になりやすいことがあります。
避難所運営は、手順を知っているだけでなく、
現場で迷わず行動できる状態をつくることが重要です。

この記事では、避難所訓練が形骸化しやすい理由を整理しながら、
訓練を実践的な備えにつなげるために見直したいポイントを解説します。

避難所訓練が形骸化するとはどういう状態か

避難所訓練の形骸化とは、訓練を実施していても、
その経験が次の行動や改善につながりにくくなっている状態を指します。

たとえば、次のような状態が続くと、訓練は実施していても成果を感じにくくなります。

  • 毎回ほぼ同じ内容で、参加者が受け身になっている

  • 説明を聞いて終わりになり、実際の行動確認が十分でない

  • 気づきは出るが、次回の見直しに反映されない

  • 一部の経験者が進行し、ほかの参加者は“見ているだけ”になりやすい

このような状態では、訓練を重ねても「現場で動ける感覚」が育ちにくくなります。

避難所訓練が形骸化しやすい理由

1. 実施すること自体が目的になりやすい

訓練は本来、「何を確認するのか」を明確にして設計する必要があります。
しかし実際には、年度計画や行事としての実施が優先され、
「とにかく予定どおり行うこと」が目的になってしまうことがあります。

その場合、訓練後に何が確認できたのか、どこに課題が残ったのかが曖昧になりやすくなります。
実施した事実は残っても、運営改善にはつながりにくくなります。

2. 経験者の説明に依存しやすい

避難所訓練では、慣れた担当者や地域のキーパーソンが中心になって進行することが多くあります。
それ自体は悪いことではありませんが、
経験者が説明し、ほかの参加者が聞いて終わる形になると、
訓練の理解が特定の人に偏りやすくなります。

本番では、必ずしも同じ人がその場にいるとは限りません。
経験者がいないと動けない状態のままでは、訓練を重ねても属人化は残ります。

3. 振り返りが次回に残りにくい

訓練後には、「ここが分かりにくかった」「この順番では動きにくい」といった気づきが出ます。
ただ、その気づきが記録に残らなかったり、マニュアルや運用見直しに反映されなかったりすると、
次回また同じところで止まりやすくなります。

形骸化は、訓練中よりも、むしろ訓練後の改善が積み上がらないことで進みます。
つまり、問題は「訓練をしているかどうか」ではなく、
「訓練の結果が残っているかどうか」にあるともいえます。

見直したい3つのポイント

1. 訓練の目的を絞る

まず見直したいのは、1回の訓練で何を確認するのかを絞ることです。
初動対応を確認したいのか、受付や情報共有を見たいのか、住民主体で動けるかを確かめたいのかによって、訓練の設計は変わります。

目的が曖昧なままでは、参加者も「何を意識して訓練に参加すればよいか」が分かりにくくなります。
確認したい論点を絞ることで、振り返りもしやすくなります。

2. 参加者が自分で動く場面を増やす

訓練を受け身にしないためには、説明を聞くだけでなく、
実際に自分で確認し、判断し、動く場面を増やすことが重要です。

たとえば、

  • 備蓄品の場所を自分で確認する

  • 掲示物や受付導線を自分たちで設置する

  • 役割ごとにどの順番で動くかを試す

といった形です。

自分で動いた経験があるかどうかは、本番の初動に大きく影響します。

3. 訓練後の気づきを残す

訓練で見えた課題は、その場で終わらせず、次回へ残す必要があります。
どこで迷ったか、何が分かりにくかったか、
どの手順が実情に合っていなかったかを整理し、見直しにつなげることが大切です。

訓練を毎年続けていても、気づきが担当者の頭の中だけにとどまっていると、
異動や交代のたびに振り出しに戻りやすくなります。

継続的な改善のためには、訓練の結果を残し、共有しやすくすることが欠かせません。

形骸化を防ぐために必要な視点

避難所訓練を実践的なものにするためには、
「訓練を実施したか」だけではなく、
現場で確認しやすい状態になっているかを考える必要があります。

たとえば、

  • 必要な手順をその場ですぐ確認できるか

  • 経験者がいなくても次の行動が分かるか

  • 訓練で出た課題が次回に反映されるか

といった点です。

避難所運営は、特定の人の経験だけで支えるには限界があります。
マニュアルを整備することは重要ですが、それだけでなく、
現場で迷いにくく、改善が積み上がりやすい運用にしていくことが求められます。

N-HOPSで支援できること

N-HOPSは、既存のマニュアルや開設キットを活かしながら、
避難所ごとの手順を現場で確認しやすくするためのWebアプリです。

スマートフォンやPCから確認できるため、
必要な場面で次の行動をたどりやすく、
訓練時や本番で得た気づきを見直しに反映しやすい構成にできます。
また、地域や避難所ごとの事情に応じて内容を更新しやすい点も特長です。

訓練を「やった」で終わらせず、経験者の説明だけに頼らない形に近づけていくうえで、
既存の備えを補う選択肢の一つとして活用できます。

まとめ

避難所訓練が形骸化する背景には、
実施すること自体が目的になりやすいこと、
経験者の説明に依存しやすいこと、
振り返りが次回に残りにくいことがあります。

訓練を意味のあるものにするには、目的を絞り、
参加者が自分で動く場面を増やし、訓練後の気づきを改善につなげていくことが重要です。

避難所運営を本当に現場で機能する備えにしていくためには、
訓練の回数だけでなく、手順の確認しやすさや改善の残しやすさまで含めて見直していく必要があります。

避難所訓練を続けていても、毎回同じ説明が必要になったり、
経験者がいないと不安が残ったりする場合は、
訓練の進め方だけでなく、手順の伝え方や改善の残し方を見直す余地があるかもしれません。

N-HOPSでは、既存のマニュアルや開設キットを活かしながら、
避難所ごとの行動支援ガイドを整備し、訓練の質向上につなげることができます。

淺野 智雄
淺野 智雄
能美防災株式会社 総合企画室 社内ベンチャーグループ長。 自治体や地域の実情に寄り添った防災のあり方を模索し、避難所運営支援アプリ「N-HOPS」をはじめ、現場の課題から生まれる防災支援ツールの企画・開発・展開に取り組んでいる。 品質管理の現場からキャリアをスタートし、その後は中長期ビジョンの策定や新規事業開発など、経営と現場をつなぐ役割を担う。現在は自治体職員や地域の関係者へのヒアリング、避難所訓練への参加などを通じて、実際の運用現場から得た知見をもとに、防災の実装に関する情報発信を行っている。現場で起きている小さな迷いや工夫に目を向けながら、「誰でも動ける避難所運営」を実現する仕組みづくりをテーマに活動している。 趣味は料理・読書・筋トレ。朝の運動で一日を整えるのが日課。

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