避難所開設マニュアルは整備している。けれど、いざ災害が起きた時、本当にそれだけで開設できるのか──。
多くの自治体防災担当者が抱えるこの疑問に、春日部市が正面から向き合いました。
2024年6月、春日部市庁舎会議室を模擬避難所とし、避難所支援アプリ「N-HOPS」と紙マニュアルの比較によるトライアルを実施。その結果と現場の声を、フェーズごとの行動に即してご紹介します。
本実証では、避難所開設業務を「紙マニュアルグループ」と「N-HOPSグループ」に分け、同条件下での作業比較を実施。
実験の舞台は、市庁舎の会議室を模擬避難所と見立て、避難者の受け入れまでの一連の流れを5つのフェーズに分けて検証しました。
避難所に到着後、スターターボックスを使って安全点検用紙を取り出し、チェックを実施しました。
アプリグループ:4分46秒
マニュアルグループ:5分30秒(+44秒)
N-HOPSでは、スターターボックスの位置や用紙の実物画像が画面に表示されており、参加者が迷わず行動できました。
一方、マニュアルグループは記載された手順を読みながら確認する必要があり、時間を要しました。
避難スペースをどう割り当てるかを検討し、各区画の使用計画を作成しました。
アプリグループ:9分52秒
マニュアルグループ:12分40秒(+2分48秒)
N-HOPSにはあらかじめ優先配置が入力されており、図面上に「体調不良者エリア」「ペット同行避難エリア」などが明示されていたため、比較的スムーズに検討が進みました。
一方マニュアルグループは、図面を見ながらゼロベースで配置を検討する必要がありました。
避難者受け入れのために、各所(検温・記入・受付)の設営と備品の準備を行いました。
アプリグループ:13分05秒
マニュアルグループ:7分49秒(-5分16秒)
設営作業のスピードはマニュアルグループが早かったものの、アプリグループのほうが正確に、必要な備品・掲示物を過不足なく配置できたことが確認されました。
マニュアルは記載が抽象的で、作業者によって判断のばらつきが発生し、不要な備品の設置や掲示漏れも見られました。
IP無線機を使って、災害対策本部へ避難所開設完了の連絡を行いました。
アプリグループ:3分30秒
マニュアルグループ:3分32秒(+2秒)
このフェーズは、両グループとも操作に大きな差は見られず、スムーズに連絡を完了。
アプリでは無線機の操作方法も画面に表示されており、機器に不慣れな状況でも安心感のある設計が評価されました。
模擬避難者(健康・体調不良の2名)を受け入れ、誘導・記入・受付対応を実施しました。
アプリグループ:4分50秒
マニュアルグループ:8分45秒(+3分55秒)
事前に各スペースの設営が正確に行われていたアプリグループでは、誘導ミスや確認の手戻りがなく、スムーズに受付対応が完了。
一方、マニュアルグループは備品の不足や導線の誤りにより、対応に時間がかかり、避難者役が困惑する場面も見られました。
実証実験後、参加者・見学者を対象に実施したアンケート結果から、現場のリアルな声を抜粋・整理しました。
01 | よかった点(アプリの強み) |
02 | 課題と改善の声 |
今回の実証実験でいただいた貴重なフィードバックは、N-HOPS開発にしっかりと反映させていきます。特に挙がった以下のような声をもとに、以下の改良に取り組みました:
高齢者にも優しい画面設計:文字サイズや配色の見直し
操作ミスを防ぐUI改善:ボタン一の最適化とスワイプ操作対応など
柔軟な行動判断を促すナビ構成:画像とテキストのバランス最適化
災害時を想定した使用性の強化:オフライン機能
春日部市でのトライアルは、災害時に「読む」より「動ける」状態をどうつくるかを考える機会となりました。
N-HOPSはその第一歩として、現場の不安を減らし、職員の自信と市民の安心を支えるツールになる可能性を秘めています。
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