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激甚災害指定とは? 制度の概要と、指定を待つ間に自治体が備えるべきこと

豪雨や地震などで大きな被害が発生すると、「激甚災害指定」という言葉を耳にすることがあります。
自治体の防災担当者にとっては、支援の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。

ただし、激甚災害指定は、発災直後の現場対応そのものを代わってくれる制度ではありません。
指定は、災害復旧や財政負担の軽減を後押しする重要な仕組みですが、
その前に自治体や現場では、避難所開設や初動対応を進める必要があります。

この記事では、激甚災害指定の基本を整理したうえで、
指定を待つ間にも必要となる「現場で動ける備え」について考えます。

激甚災害指定とは

激甚災害制度は、被害が大きく、
地方財政の負担緩和や被災者への特別の助成が特に必要と認められる災害について、
中央防災会議の意見を聴いた上で国が指定し、
災害復旧事業等に関する特別措置を適用する制度です。

指定されると、自治体が行う災害復旧事業への国庫補助のかさ上げや、
中小企業事業者への保証特例などが講じられます。

なお、指定は
「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」
に基づき、政令で行われます。

判断にあたっては、中央防災会議が定める指定基準や局地激甚災害指定基準が使われます。

いわゆる「本激」と「局激」の違い

実務上は、全国を対象とする激甚災害を通称で「本激」、
市町村を対象区域として指定する局地激甚災害を「局激」と呼ぶことがあります。

内閣府Q&Aでは、本激の方が適用措置の種類は多い一方で、
同じ種類の措置であれば内容自体に差はないと説明されています。

局激は、本激の基準を満たさなかった場合に、地域を明示して指定される仕組みです。

指定されると何が変わるのか

激甚災害指定の主眼は、被災自治体の復旧を財政面から支えることです。
公共土木施設や農地・農業用施設などの復旧に対する特別措置、
年度末の特定地方公共団体等の確定を通じた補助率のかさ上げ分の交付など、
復旧を進めるための制度的な後押しが行われます。

ここで押さえておきたいのは、
激甚災害指定は主として復旧・復興の財政支援の制度だという点です。

避難所の初動や、現場で「次に何をするか」をその場で示してくれる制度ではありません。

指定はすぐに決まるわけではない

内閣府Q&Aでは、本激の指定について、
被害報告の集計、査定見込額の算出、法制局審査、中央防災会議への諮問・答申、閣議決定などを経て、
発災から1〜2か月程度かかるのが通例とされています。

局激も原則同様で、例年3月中旬ごろに政令が公布・施行されるケースがあるほか、
基準に明らかに該当する見込みの場合には年度途中の早期指定もあります。

つまり、自治体の現場は「指定されたら動く」のではなく、
指定を待つ間も動かなければならないということです。

だからこそ、自治体には“初動を回す備え”が必要になる

大規模災害では、すべての避難所に経験者がいるとは限りません。

マニュアルや開設キットが整備されていても、
それを使ったことがある人が必ずその場にいるとは限らず、
保管場所の都合ですぐ確認できないこともあります。

N-HOPSのサービスページでも、
こうした理由から現場で初動の迷いが生まれることがあると整理されています。

激甚災害指定のような制度理解はもちろん必要です。
ただ、それと同じくらい重要なのが、現場にいる人が、
その場で次の行動を確認しながら動ける状態をつくっておくことです。

避難所開設や運営は、人の経験だけに依存させない仕組みが必要になります。

制度理解と現場運用をつなぐ考え方としてのN-HOPS

N-HOPSは、避難所開設訓練を「実施した」で終わらせず、
「本番で動ける備え」につなげるための自治体向けWebアプリです。

能美防災の説明では、既存の避難所マニュアルや開設キットを置き換えるのではなく、
現場で手順を確認しやすくする仕組みとして補完する位置づけです。

また、訓練のたびに同じ説明が必要になることや、
気づきが次回へつながりにくいことに対して、
行動手順をガイドとして共有し、参加者が自分で確認しながら動ける環境をつくることで、
住民主体の訓練運営や改善の蓄積を進めやすくするとされています。

激甚災害指定のような制度は、災害対応の大きな土台です。

その一方で、実際の現場では、避難所を開ける人、受付を回す人、備蓄品を確認する人が、
その場で動けるかどうかが問われます。

制度と現場運用は別の話ではなく、
両方そろってはじめて、災害対応の実効性が高まります。

まとめ

激甚災害指定は、被災自治体の復旧・復興を支える重要な制度です。
ただし、指定は手続きを経て行われるもので、
発災直後の避難所開設や現場初動を代替するものではありません。

だからこそ自治体には、制度を理解することに加えて、
指定を待つ間にも現場で動ける備えが求められます。

避難所運営の見直しや訓練高度化をご検討中であれば、
N-HOPSのように、既存のマニュアルや開設キットを活かしながら
現場で手順を確認しやすくする考え方も参考になります。

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淺野 智雄
淺野 智雄
能美防災株式会社 総合企画室 社内ベンチャーグループ長。 自治体や地域の実情に寄り添った防災のあり方を模索し、避難所運営支援アプリ「N-HOPS」をはじめ、現場の課題から生まれる防災支援ツールの企画・開発・展開に取り組んでいる。 品質管理の現場からキャリアをスタートし、その後は中長期ビジョンの策定や新規事業開発など、経営と現場をつなぐ役割を担う。現在は自治体職員や地域の関係者へのヒアリング、避難所訓練への参加などを通じて、実際の運用現場から得た知見をもとに、防災の実装に関する情報発信を行っている。現場で起きている小さな迷いや工夫に目を向けながら、「誰でも動ける避難所運営」を実現する仕組みづくりをテーマに活動している。 趣味は料理・読書・筋トレ。朝の運動で一日を整えるのが日課。