火災時の避難行動:正常性バイアスの打破
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概要
多くの人が大きな危機に直面した時に見せる「正常性バイアス」は、火災時の避難行動を大幅に遅らせる原因の一つです。本記事では、この正常性バイアスを打破し、いち早く避難行動に移る方法を探ります。
正常性バイアスとは何か?
正常性バイアスとは、非常時であっても何とかなる・大丈夫と考えてしまい、危機の重大さを理解できず、適切な行動を遅延させてしまう現象のことを指します。
この心理現象は、自分が今まで経験したことのないような大規模な災害や事故、危機的状況に陥ったときに特に顕著に現れ、適切な対応を阻害します。
火災時の正常性バイアスの危険性
火災時における正常性バイアスは大変危険です。火災の煙は物凄いスピードで広がるため、非常ベルが鳴ったらすぐに避難行動を起こす必要があります。しかし、正常性バイアスにとらわれていると、「きっと点検中か誤報だろう」と勝手な判断によって、避難行動開始が大幅に遅れることがあります。
ちなみに、煙の水平方向へのスピードは大人が普段歩く速さより少し速いくらい(毎秒0.5mから1m)ですが、縦方向へのスピードは大人が歩く速さの3~4倍(毎秒3mから5m) と非常に早くなります。よって、煙が上階へ移行する前に避難することが大切です。
正常性バイアスを打破するための訓練
正常性バイアスを打破するためには、火災やその他の非常事態に対する理解と対策を日頃から心がけることが大切です。避難訓練を定期的に行い、非常事態が起きたときには冷静に判断し、まずは素早く行動開始することの重要性を身につけることが必要です。
適切な情報の取得と共有がカギ
情報は重要な武器です。緊急事態には正しい情報を素早く取得し、また伝達することで、危機的状況が発生した際にも冷静な判断ができます。よって、得た情報を周囲の人々と共有する方法と経路を決めておくことが大切です。多くの人が適切な情報と理解を持てば、一人一人のバイアスが少なくなり、避難行動はよりスムーズに行えます。
「何とかなる」思考を捨てる
最も重要なのは、「何とかなる」思考を捨てることです。「何とかなる」思考は、適切な判断を妨げ、大事な時間を失わせます。日ごろから「いざというときは、すぐに行動する」というスタンスを意識し、その姿勢を維持することが重要です。
まとめ
火災時の避難行動は、我々の生命に直結する大切な行動です。「何とかなる」という正常性バイアスは、逆に生命を危険に晒す可能性があります。それを打破するためには、訓練、情報の収集・共有、そして何より「何とかなる」思考を捨てることが不可欠です。普段から正しい心構えと知識を持つことで、いざという時に迅速かつ適切に行動できるようにしておきましょう。
「火災臨場体験VR」にて「正常性バイアス」による避難行動遅延が体験できます
このシーンでは、会議中に下階で火災が発生する状況が設定されており、ベルの音に気付いていながら誰も動こうとしない「正常性バイアス」がはたらいている状況を疑似体験できます。
学びのポイントとしては、ベルの音に気付いた時点で、自ら率先して避難行動へ移行し、周囲の人にも行動を促すことの重要性を再認識できる点です。