火災時の見えない脅威、一酸化炭素の危険性について
目次[非表示]
- 1.概要
- 2.一酸化炭素とは何か
- 3.一酸化炭素中毒の症状
- 4.影響の深刻さ
- 5.防護の重要性と対策
- 6.まとめ
- 7.「火災臨場体験VR」にて火災時の煙の中を避難する疑似体験ができます
概要
火災が起こると、様々な物質が燃え上がることで、有毒ガスを含んだ煙が発生します。その中でも一酸化炭素は特に危険な存在です。本記事では、一酸化炭素の危険性について解説します。
一酸化炭素とは何か
一酸化炭素は、炭素が燃焼する際、酸素が不十分な環境で不完全燃焼を起こすと発生する気体です。火災の時には不完全燃焼により一酸化炭素が大量に発生します。
血液中のヘモグロビンは酸素と結びついて全身に酸素を運ぶ役割をしていますが、一酸化炭素は酸素に比べて200倍以上もヘモグロビンと結びつきやすい性質を持っています。このため一酸化炭素があるとヘモグロビンは酸素と結びつくことができず、血液の酸素運搬能力が低下してしまい、酸素不足に陥ります。これが一酸化炭素中毒です。
参考映像:能美防災ホームページ:「一酸化炭素中毒の怖さを知ろう 」
一酸化炭素中毒の症状
一酸化炭素中毒による症状はさまざまで、吸引量や時間によって異なります。軽度の症状では、頭痛やめまい、吐き気、混乱状態といったものがあります。重症化すると、意識障害や昏睡状態を引き起こし、最悪の場合は死亡に至ることもあります。
影響の深刻さ
煙が大量に発生する火災現場では、一酸化炭素だけでなく、硫黄酸化物や一酸化窒素など、他の有害物質も含まれます。しかし、一酸化炭素はこれらと違い、無色無臭という特性上、人間の五感で捉えることは困難です。そのため、気づかぬうちに大量に吸引してしまい、深刻な健康被害をもたらす可能性があります。
防護の重要性と対策
一酸化炭素に対する防護は非常に重要です。火災時においてはいち早く外へ避難することが最も重要ですが、煙を吸い込まないように身をかがめて避難することなどが基本的な対策となります。
また、住宅用火災警報器については一酸化炭素検知機能が付いた機器を設置することで、早期に一酸化炭素の発生を察知し、適切な行動をとることも可能です。
まとめ
火災が発生した際に発生する一酸化炭素は、無色無臭のため気づきにくい危険物質です。一酸化炭素を吸引すると健康被害が起きる可能性がありますので、適切な対策と防護が必要です。自身の生命を守るために、一酸化炭素の危険性を理解し、いざという時に備えましょう。
「火災臨場体験VR」にて火災時の煙の中を避難する疑似体験ができます
このシーンでは、ベルが鳴動しているにもか関わらず避難せずにいたところ、避難経路である廊下は既に煙が充満しており、その煙の中を避難しなければならない状況を疑似体験できます。
学びのポイントは、煙が充満して視界が極端に狭くなる中で避難口を探すにはどうすれば良いのかを体感できる点と、避難訓練時に必ず指導される、「身をかがめて避難」の意味が、実感を伴って理解できる点です。