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若者が動かない理由、それは“やる気”不足じゃなかった!

避難所運営訓練や地域の防災訓練で、若者に「やってみて」と声をかけても、なぜか動いてくれない──。そんな経験、ありませんか?

「声をかけても反応が薄い」
「関心がないように見えるし、やる気も感じられない」

でも実は、その“動かない”には明確な理由があります。
しかも、それはやる気の問題ではないのです。

目次[非表示]

  1. 1.若者は「やる気がない」のではなく、「失敗したくない」だけ
  2. 2.世代間の「普通」がすれ違いを生む
  3. 3.いまの防災訓練、若者にはどう見えている?
  4. 4.「やってみて」と言わなくても動ける仕組み
  5. 5.未来の防災を担うのは、今の若者たち

若者は「やる気がない」のではなく、「失敗したくない」だけ

Z世代(1990年代後半〜2010年前後生まれ)は、失敗に対してとても敏感な世代です。

ネットやSNSで情報を集めてから動くことが習慣となっており、何かを始めるときには「正解」や「やり方」をまず知っておきたいと考える傾向があります。

「間違えたら迷惑をかけるかもしれない。だから慎重になる」
「やりたい気持ちはあるけれど、ちゃんと理解してからでないと動けない」

こうした声は、若者の“やる気のなさ”ではなく、真面目さと責任感の表れです。
動かないのではなく、動けない理由があるということです。

世代間の「普通」がすれ違いを生む

私たちが当たり前に思ってきた、「まずやってみる」「見て覚える」といった指導のスタイル。
これがZ世代には「説明が足りない」「不親切」と映ることがあります。

Z世代が安心して動ける条件は、次のようなものです:

  • やることの目的や理由がはっきりしている
  • 手順やゴールが最初に明示されている
  • 「ここから始めてみよう」といった小さな一歩が用意されている

つまり、「最初から全部説明するのは甘やかし」ではなく、「前提を共有することが信頼関係になる」という考え方が大切なのです。

いまの防災訓練、若者にはどう見えている?

防災訓練の現場では、従来の形式がZ世代にとって理解しにくいケースがあります。

たとえば、訓練の冒頭で講師がマニュアルを読み上げるだけの進行では、情報が一方向に流れるだけで頭に入ってこないと感じがちです。

また、役割や流れが曖昧なまま「やってみて」と言われると、自分に何が求められているのか分からず、不安で動けないという反応になります。

さらに、分厚い紙のマニュアルを渡されても、「どこから読めばいいのか分からない」と感じてしまい、かえって行動を妨げる要因になることもあります。

Z世代にとっては、“わかりやすく整理された情報”が、動き出すためのきっかけになるのです。

「やってみて」と言わなくても動ける仕組み

Z世代の特徴を踏まえた実践型訓練ツールがN-HOPSです。

N-HOPSは、避難所運営をロールプレイ形式で体験できるキットで、役割や判断の流れがカード形式で可視化されています。

初めての人でも戸惑うことなく、「いま何をすればいいか」がひと目で分かる設計です。

未来の防災を担うのは、今の若者たち

Z世代は、きちんと伝えればしっかり動いてくれる世代です。
彼らが動けないのは、やる気がないからではなく、「安心して動ける環境が整っていないから」

訓練の設計を少し工夫するだけで、「やってみて」と言わなくても、「やってみたい」と自ら動き出す若者が増えていきます。

その第一歩を支えるツールが、N-HOPSです。 

  NHOPS|住民主体でスムーズな避難所運営を支援するWebアプリ 「NHOPS」は、住民主体の避難所運営を支援するWebアプリ。誰でも簡単に避難所の開設・運営ができる直感的なインターフェースで、現場に即した行動支援を提供します。 能美防災株式会社


淺野 智雄
淺野 智雄
能美防災 総合企画室 社内ベンチャーグループ長。自治体や地域に寄り添う防災のあり方を模索し、避難所運営支援アプリ「N-HOPS」をはじめ、現場の声に応じた防災支援ツールの開発・展開に取り組んでいる。元々は品質管理の現場からキャリアをスタートし、その後は中長期ビジョンの策定や新規事業開発など、経営と現場をつなぐ活動に従事。実際の運用現場に足を運び、改善を重ねる日々を大切にしている。趣味は筋トレと読書、料理。どんな状況でも前向きでいられるよう、朝4時からのトレーニングで心身を整えるのが日課。