
CSRとサステナの視点で考える- 防災の統合報告書活用法
統合報告書のテーマ探しに悩んでいませんか?
脱炭素や再エネなど、王道テーマはすでに多くの企業が 取り上げ、差別化が難しくなっています。そんな中、ー「防災」ーは、事業継続(BCP)と社会的責任(CSR)を同時に満たす、今注目すべき切り口です。
自然災害リスクが高い国である日本では、防災は企業価値を高める要素としてステークホルダーの関心が高まっています。本記事では、防災を統合報告書に組み込むメリット、国内外の事例、そして実務で活かすためのポイントを解説します。
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統合報告書における防災テーマの重要性
防災は、事業継続(BCP)とCSRの両面で企業価値を高める重要テーマであり、統合報告書における差別化要素です。
統合報告書は、企業の財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンス(ESG)の取り組みを統合的に伝えるレポートです。近年は投資家・顧客・地域社会からの期待が高まり、企業が災害時にどのように行動し、地域にどのように貢献するかが注目されています。
防災はSDGs目標11「住み続けられるまちづくり」(外務省SDGs解説ページ)と直結し、ESG評価のレジリエンス(回復力)指標にも関連します。統合報告書で防災活動を示すことは、社会的信頼と企業価値を同時に高める戦略的要素です。
CSR活動としての防災の位置づけ
防災は地域社会の安全を守る社会課題の一つであり、企業活動との親和性が高いテーマです。CSR活動として位置づけることで、社会的評価やブランド力の向上につながります。
- 地域防災訓練への参加:従業員と地域住民が連携し、災害時対応力を向上。
- 物資備蓄と寄付:期限切れ前の備蓄品をフードバンクに提供し、廃棄ロスを削減。
- 災害時の施設開放:避難所や電源供給拠点として自社施設を活用する。外部参考:内閣府「防災白書」では、企業による備蓄・地域連携の重要性が繰り返し強調されています
防災×CSRの国内外事例
国内事例
- 大手コンビニ企業:災害時に全国店舗を物資供給拠点として活用。統合報告書に運用実績を明記。
- 大手電機メーカー:防災製品の寄贈や避難所支援を数値と事例で公開。
- 防災支援サービス提供企業:備蓄品をWeb等で管理し、賞味期限切れ前に食品や物資をフードバンクへ寄付。食品ロス削減と地域貢献を同時に実現。取り組み内容は統合報告書にも活用できる。
海外事例
- 世界的家具小売企業:災害被災国で家具・物資を支援し、CSRレポートで公開。
- 多国籍飲料メーカー:アジア各国で水供給支援を行い、災害時インフラ回復に貢献。
統合報告書への防災活動の組み込み方
統合報告書で防災を扱う際は、活動の「背景」→「具体的施策」→「成果・KPI」の順で整理するとわかりやすくなります。
記載のポイント
背景と意義:自社の事業特性や地域性から、防災が必要な理由を説明。
具体的施策:防災訓練、備蓄寄付、設備投資などの活動を写真や図解で示す。
成果・KPI :支援人数、寄付数量、CO₂削減量など数値化。
将来計画 :今後3〜5年の防災・CSR計画を提示。
まとめ:防災CSRで企業価値を高める
防災はCSRとESGの両方で評価されるテーマです。統合報告書に防災CSRを盛り込むことで、社会的信頼を高め、投資家や顧客との関係性を強化できます。
たとえば、企業備蓄品寄付・防災支援・食品ロス削減を組み合わせた取り組みは、CSRと防災を効果的に統合でき、統合報告書の差別化にも直結します。次年度の統合報告書に防災CSRを反映し、持続可能な企業価値の創造を目指しましょう。