防災訓練の講評は何を話す?そのまま使える質問例と振り返りのポイント

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防災訓練の講評では何を話せばよい?
訓練後の振り返りですぐに使える質問例と、気づきを次の訓練や災害対応につなげるポイントを紹介します。

防災訓練の講評、何を話せばいい?

防災訓練の最後に
「それでは、講評をお願いします」
と言われて、何を話せばよいか迷った経験はないでしょうか。

「皆さん、落ち着いて行動できていました」
「声を掛け合えていて良かったと思います」

もちろん、こうした言葉も大切です。
しかし、防災訓練を本番で動ける備えにつなげるためには、もう一歩踏み込んでみたいところです。

講評で大切なのは、参加者を評価することだけではありません。
実際にやってみて何が分かったのかを、参加者と一緒に見つけること。

この記事では、防災訓練や避難所開設訓練の講評・振り返りですぐに使える質問と、
そこで得られた気づきを次の訓練につなげる考え方を紹介します。

防災訓練は「うまくできたか」を確認するだけではない

訓練というと、

  • 予定どおり実施できたか
  • 時間内に避難できたか
  • 決められた手順どおり行動できたか

といった「結果」に目が向きがちです。

しかし、訓練にはもう一つ大切な役割があります。
それは、
実際に動いてみなければ分からない問題を見つけること
です。

たとえば避難所開設訓練なら、

「鍵の場所が分からなかった」
「受付をどこにつくるのか迷った」
「誰の指示を待てばよいのか分からなかった」
「マニュアルの該当箇所を探すのに時間がかかった」

といったことが起こるかもしれません。

一見すると、「訓練がうまくいかなかった場面」です。
しかし、本番になる前にそれが分かったのであれば、訓練をした意味があったとも考えられます。

大切なのは、
「できなかった」で終わらせず、「なぜできなかったのか」まで確認することです。

講評の基本は「事実 → 理由 → 次の行動」

では、具体的にどのように振り返ればよいのでしょうか。

一つの方法は、
①何が起きたか
②なぜ起きたか
③次はどうするか
の順番で考えることです。

たとえば、
「発電機を動かすまでに時間がかかった」
という出来事があったとします。

そこで、
「もっと早く準備しましょう」
だけで終わらせるのではなく、
「なぜ時間がかかったのでしょう?」
と聞いてみます。

すると、

「保管場所が分からなかった」
「使い方を知っている人を探していた」
「説明書を読まないと操作できなかった」

など、具体的な理由が出てくるかもしれません。
ここまで分かれば、

「保管場所を手順書に記載する」
「操作方法を写真で残しておく」

といった、次の改善につなげられます。

講評する人がすべての答えを持っている必要はありません。
参加者が経験した事実を引き出し、その理由を一緒に考える。
それだけでも、訓練後の振り返りはかなり具体的になります。

そのまま使える、防災訓練の講評・振り返り質問10選

ここからは、実際の講評やグループでの振り返りに使える質問を紹介します。

1.今日、一番最初に迷ったのはどこでしたか?

初動で迷った場所には、役割や手順が曖昧になっている可能性があります。

2.「次に何をすればいいか分からない」と感じた場面はありましたか?

マニュアルや事前説明だけでは補えていない部分を見つける手がかりになります。

3.そのとき、何を見たり、誰に聞いたりして判断しましたか?

参加者が実際に何を頼りに行動しているのかが分かります。

4.誰かの指示を待ってしまった場面はありましたか?

特定の担当者や経験者がいないと進まない作業を発見できるかもしれません。

5.探すのに時間がかかったものはありましたか?

鍵、資器材、書類、設備など、平時には気づきにくい問題が見えてきます。

6.初めて参加した人でも、同じように行動できそうですか?

経験者には当たり前でも、初参加者には分からないことがあります。

7.想定していた役割分担で対応できましたか?

災害時に予定どおり人が集まらない場合でも成り立つ運用なのかを考えるきっかけになります。

8.別の人が来年参加しても、同じようにできそうですか?

訓練で得たノウハウが「人」に残っているのか、「仕組み」に残っているのかを見る質問です。

9.次の訓練までに、一つだけ変えるとしたら何を変えますか?

改善項目を並べるだけでなく、次の行動を具体化します。

10.今日分かったことを、どこに残しますか?

そして、実はこの最後の質問がとても重要です。

講評で改善点が見つかっても、それだけでは終わらない

良い振り返りができると、いろいろな気づきが出てきます。

「受付はこちらにつくった方がいい」
「この資器材を先に出した方がいい」
「施設の安全確認を先にした方がいい」
「この作業は一人では難しかった」

こうした気づきは、次の災害対応を良くする大切な情報です。

ところが、一年後。

担当職員が異動した。
地域の役員が交代した。
訓練参加者が入れ替わった。

そんなときに、
「去年の訓練で何か話しましたよね」
となってしまうことがあります。

訓練で得た経験が、参加した人の記憶にだけ残ってしまうからです。

「できる人」を増やすだけでなく、「誰でもできる状態」をつくる

もちろん、繰り返し訓練を行い、経験のある人を増やしていくことは重要です。

ただし、大規模な災害が発生したとき、
訓練を経験した人が必ずその避難所にいるとは限りません。

自治体職員の異動もあります。
地域の担当者が変わることもあります。
そもそも予定していた人が参集できないかもしれません。

だからこそ、訓練では、
「今回できたか」
だけでなく、
「次に違う人が来てもできるか」
という視点も持っておく必要があります。

訓練の気づきを「次の人が使える手順」に変える

ここで重要になるのが、
訓練で得られた気づきを、どう残すか
ということです。

たとえば、

「この鍵を最初に取りに行く」
「この場所から資器材を運ぶ」
「受付はこの順番で設営する」
「この設備はこの方法で操作する」

ということが訓練で分かったのであれば、
次回参加する人がそれを確認できる形にしておく。

そうすれば、一度の訓練で得られた経験を、次の訓練へ引き継ぐことができます。

N-HOPSは、訓練で見つけた「現場のやり方」を育てていくWebアプリです

能美防災が提供する「N-HOPS」は、避難所の開設・運営に必要な作業を、スマートフォンなどで確認できるWebアプリです。

自治体が持つ避難所運営マニュアルなどをもとに、
「現地で、次に何をすればよいのか」
が分かる行動ガイドとして整理します。

そして、一度つくって終わりではありません。
訓練をしてみて、

「この順番では分かりにくかった」
「この場所を先に確認した方がよかった」
「初参加の人には、この説明では伝わらなかった」

ということが分かれば、内容を見直していくことができます。

つまり、

訓練する

課題を見つける

手順を改善する

もう一度訓練する

というサイクルを繰り返しながら、
その地域・その避難所で「誰でも動ける状態」を育てていく。

それが、N-HOPSが目指している使い方の一つです。

次の訓練で、一つだけ聞いてみてください

次回、防災訓練が終わったら、
最後に一つだけ、こんな質問をしてみてください。

「今日分かったことは、来年初めて参加する人にも残っていますか?」

YESなら、その訓練で得た経験は、地域の備えとして積み上がっています。
もしNOであれば、
講評の仕方だけでなく、
その経験をどこに残し、次の人がどう使える状態にするか
まで考えてみてもよいかもしれません。

訓練を「やって終わり」にせず、
一回ごとに、本番で動ける状態に近づけていく。
講評は、そのための大切なスタート地点です。

淺野 智雄
淺野 智雄
能美防災株式会社 総合企画室 社内ベンチャーグループ長。防災士。 避難所開設・運営支援Webアプリ「N-HOPS」の企画・開発・展開を担当しています。 自治体職員や地域の関係者へのヒアリング、避難所訓練への参加などを通じて、実際の運用現場で生じる課題や迷いを捉え、「誰でも動ける避難所運営」を実現する仕組みづくりに取り組んでいます。 品質管理、中長期ビジョン策定、新規事業開発などの業務を経験。現場で起きている小さな課題や工夫を手がかりに、防災を「実際に機能する仕組み」にするための視点を発信しています。 趣味は料理・読書・筋トレ。朝の運動が日課です。