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土砂災害:土石流、がけ崩れと地すべりの違い

土砂災害:土石流、がけ崩れと地すべりの違い


目次[非表示]

  1. 1.概要
  2. 2.土石流とは?
  3. 3.がけ崩れの特徴
  4. 4.地すべりの概要
  5. 5.土砂災害の前兆現象
    1. 5.1.土石流の前兆現象
      1. 5.1.1.川や沢の水が急に濁る
      2. 5.1.2.大きな音が聞こえる
      3. 5.1.3.沢の流れが弱くなる
    2. 5.2.がけ崩れの前兆現象
      1. 5.2.1.崖の一部が小さく崩れる
      2. 5.2.2.亀裂が広がる
      3. 5.2.3.斜面から異様な音、地鳴りが聞こえる
    3. 5.3.地すべりの前兆現象
      1. 5.3.1.地面のひび割れ
      2. 5.3.2.異常な湧水
      3. 5.3.3.建物や電柱の傾き
  6. 6.土砂災害に備えるための生活の心得
  7. 7.まとめ

概要

 土砂災害は私たちの生活に大きな影響を与える自然現象の一つです。本記事では、土砂災害の中でも特に重要な「土石流」、「がけ崩れ」、「地すべり」の違いについて解説します。それぞれの災害の特性や発生原因、前兆現象について知ることで、より安全な生活を送る手助けにしていただければ幸いです。

土石流とは?

 土石流は急斜面を高速で流れ下る大量の土砂や岩石のことを指します。一般的に現れる土石流の特徴としては、そのスピードと破壊力が大きく、短時間で大量の土砂が山から押し寄せる点が挙げられます。土石流は10メートル毎秒を超える高速で流れることがしばしばあり、建物や橋に甚大な損害を与えることがあります。

 土石流の主な発生原因は、長時間にわたる降雨や急激な雪解けです。特に、梅雨や台風による大雨が原因となり、山の斜面が不安定になると土石流が発生しやすくなります。標高が高く、急な斜面が多い地域では、この現象が頻繁に見られることがあります。

 また、土石流は火山噴火後にも発生しやすく、火山灰や噴出物が大量に堆積した状態で雨が降ると、これが土石流として流れ下ることがあります。土石流の発生予防には、砂防ダムや流路の整備が重要です。 

出展:国交省チャンネル

がけ崩れの特徴

 がけ崩れとは、急な斜面や崖の土砂が重力の影響で一気に崩れ落ちる現象を指します。この現象は非常に急速に進行することが多く、道路や建物が土砂で埋まるなどの大規模な被害が発生します。がけ崩れは特に都市部の周辺や農地などでも発生することがあり、広範囲にわたって影響を及ぼします。

 がけ崩れの主な原因としては、強い地震や集中豪雨、長期間にわたる降雨などがあります。地震による揺れで地盤が緩み、その後の雨でさらに不安定化するケースがよく見られます。また、地質的に脆弱な場所ではがけ崩れが起こりやすく、特に砂やシルト層など水を多く含みやすい層が存在する場合には注意が必要です。

 がけ崩れの危険性が高い場所では、事前に危険箇所をチェックし、適切な土木工事や植栽などで斜面を安定化する対策が必要です。特に住民の緊急避難経路の確認が重要です。

地すべりの概要

 地すべりとは、斜面の地盤が緩んでゆっくりと(時には急激に)移動する現象です。地すべりの特徴は移動の速度が比較的遅いことが多いですが、一度発生すると長期間にわたり影響を及ぼします。地すべりによって道や建物が損壊し、生活基盤が長期間にわたり脅かされることも珍しくありません。

 地すべりの主な原因は地下水の上昇や地盤の不安定化です。地下水が地面に浸透し、その水圧で地盤が滑りやすくなることが多いです。また、地質や地形が複雑な場所では特に発生しやすいです。特に粘土層が多い地域では、雨水が長期間にわたり地盤に留まり、地すべりが発生しやすくなります。

 地すべりの影響を受けやすい地域では、予防措置として排水設備や地盤補強工事が行われます。これは地下水を適切に排出し、地盤を安定化させるための重要な対策です。

土砂災害の前兆現象

 土砂災害にはいくつかの前兆現象があります。それぞれの災害には特有の前兆現象がありますので、日頃から注意を払うことが重要です。

土石流の前兆現象

 土石流が発生する前には、しばしば以下のような前兆現象が見られます。

川や沢の水が急に濁る

 土石流が発生する直前の兆候として、川や沢の水が普段よりも濁ることがあります。これは上流で土砂が動き始めているサインです。

大きな音が聞こえる

 山の内部からゴロゴロと岩や土砂の動く音が聞こえるときは、土石流の前兆です。特に雨が降っているときには注意が必要です。

沢の流れが弱くなる

 川や沢の水の流れが急に弱くなった後、突然土石流が発生することがあります。これは水が一時的に堰き止められ、その後一気に土砂とともに流れ出すためです。

がけ崩れの前兆現象

 がけ崩れの前に見られる典型的な前兆現象には以下のようなものがあります。

崖の一部が小さく崩れる

 斜面や崖の表面が少しずつ崩れ始めることがあります。これが大規模な崩壊の前兆となることがあります。

亀裂が広がる

 斜面や崖に新たな亀裂が発生し、その幅が広がっていくことが観察されます。亀裂が急に拡大する場合には特に注意が必要です。

斜面から異様な音、地鳴りが聞こえる

 斜面内部を流れる地下水が上昇すると、中の圧力が増して地下水をはさむ斜面同士を結びつけている力が低くなり、斜面全体が移動するために異常な音が発生する現象です。がけ崩れが発生する可能性が高まっています。

地すべりの前兆現象

 地すべりの前兆には、以下のような現象が見られます。

地面のひび割れ

 地面に新たなひび割れが発生し、その幅が次第に広がることがあります。これは地盤が崩れ始めている兆候です。

異常な湧水

 斜面の中腹や下部から突然水が湧き出すことがあります。これは地下水の圧力が高まり、地すべりが発生しやすくなっていることを示します。

建物や電柱の傾き

 地すべりが始まる前に、地面の変動によって建物や電柱が徐々に傾き始める現象が見られます。特にこれらの傾きは肉眼で確認できるほどになります。

  土砂災害の予兆・前兆現象 千葉県
  土砂災害の前兆現象!(一例) - 群馬県ホームページ(砂防課) https://www.pref.gunma.jp/page/11345.html


土砂災害に備えるための生活の心得

 土砂災害に対して自分たちでできることも多くあります。日常生活の中で防災意識を高め、適切な準備をすることが重要です。

 まず、地域のハザードマップを確認し、土砂災害のリスクが高い場所や自宅周辺の危険箇所を把握しましょう。これにより、危険が迫った際にどこへ避難すればよいかが明確になります。

 次に、避難経路や避難場所を事前に確認しておくことが大切です。近所の避難場所がどこにあるか、そこまでの経路が安全かどうかを確認しておくことで、いざという時に迅速に対応できます。

 さらに、防災グッズを常備しておくことで、災害時に必要な物資をすぐに取り出せるようにしておきましょう。非常食や水、懐中電灯、ラジオ、医療キットなどをリュックサックにまとめておくと便利です。これにより、避難時にも安心して行動することができます。

 また、地域の防災訓練に積極的に参加することも重要です。防災訓練を通じて、1人1人がどのように行動すべきかを学び、互いに協力するための基礎を築くことができます。

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まとめ

 土石流・がけ崩れ・地すべりといった土砂災害にはそれぞれ異なる特徴と発生原因があります。しかし、どの災害も私たちの生活に大きな影響を与える危険性を持っています。災害に対する知識を身につけ、前兆現象に注意を払うことで、安全な生活を送ることができます。日頃から防災意識を高め、万が一に備えて適切な準備をしておきましょう。これにより、いざという時にも冷静に対処し、被害を最小限に抑えることが可能です。

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