VR活用の新領域:防災訓練への可能性
目次[非表示]
- 1.概要
- 2.VRとは
- 3.防災訓練へのVR活用の現状
- 4.VRが提供するリアルな体験
- 5.VR防災訓練の課題と未来
- 6.VRコンテンツとこれからの展望
- 7.まとめ
概要
VR (バーチャルリアリティ) 技術が注目されて久しい中、その使用範囲が拡大しています。特に、最近活躍が期待されているのが防災訓練の分野です。この記事では、VRが防災訓練にどのように役立つのか、そして、その可能性について解説します。
VRとは
まず初めに、VRについて簡単に説明します。VRとは、ユーザーが仮想空間をリアルタイムで自由に動き回り、そこに存在するオブジェクトと直接や間接的に交流する体験を提供する技術のことです。
VRゴーグルで映像を見るだけでなく、様々なツールを組み合わせると実際に歩いたり、物を掴んだり、対話をしたりすることができ、体感することもできる仮想現実(Virtual Reality)でVRと呼ばれています。
防災訓練へのVR活用の現状
防災訓練は、「もしもの時」にどう行動すべきかを再現し、対処法を身につけるための大切な活動です。しかし訓練の現場で実際の火をおこしたり、煙を発生させたりすることは非常に難しいのが現状です。
ここでVRが役割を果たすことになります。VRを使用すれば、リアルな災害シーンをリスクなく再現し、訓練の参加者がVR上で災害を疑似体験することで災害の恐怖を感じ取ることができるため、防災訓練時の学習への動機付けをより大きくすることが可能になります。
VRが提供するリアルな体験
具体的には、VRでは地震や洪水、火災といった様々な災害状況をリアルに再現することができます。周囲の視覚や音響を現実の災害に近い状態で表現し、突然の災害発生に伴うパニックや混乱を実感させることができます。また、適切な行動を取るべき状況を疑似体験させることで、防災意識を高め、実際の災害時にパニックにならずに冷静に行動する訓練を行うことが可能となります。
大規模地震や水害については自身が経験したり、テレビなどの映像で見ているため、なんとなくイメージが湧く方も多いですが、火災や火災時の煙に関しては、火災時の建物の中の映像はほとんどないためイメージが湧きにくいという声を多く聞きます。よって、この火災に関しては特にVRでリスクなく体験できる大きなメリットと言えます。
VR防災訓練の課題と未来
現在はまだ、VRを使った防災訓練には課題があります。まず、体験者はVRゴーグルを装着することが必須であるため、大人数を同時に体験させることが難しいのが一つです。もう一つは、VR機材は、まだ一般的に普及が始まったばかりであるため、ほとんどの方になじみがない事から、扱いに不安があるという点です。しかし、技術の発展とコストの低下、社会の理解と受容度の向上に伴い、VRを活用した防災訓練は、急速に普及していくと思われます。
VRコンテンツとこれからの展望
現在、VRゴーグルを使用したコンテンツには一定の制約があり、13歳未満の子どもたちには、目の発達への影響が未知数であるためVR業界として推奨されておらず、体験してもらうことができません。今後は、VRゴーグルを使用することなく、子どもたちにも制約なく楽しく学べるコンテンツの開発が求められています。
まとめ
VRは、災害時のリアルな状況をリスクなく再現し、人々が適切な行動をとれるよう訓練を行う効果的なツールとして期待されています。現在はまだ普及の初期段階ではありますが、その可能性は無限大です。防災訓練の効果を上げていくためにも、まずは、現状のVRコンテンツを既存の防災訓練へ導入してみて、試行錯誤を繰り返していくことが必要とされています。